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ROUND -1 2016 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
序章
 2016年SUPER GTシリーズの開幕戦となる「OKAYAMA GT300km RACE」が、4月9、10日に岡山県・岡山国際サーキットにて開催された。レースウィーク中は花曇りの天候となったが、時折薄日が差し込むなど安定した天候に恵まれた。そんな中、TEAM KUNIMITSUのNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは初日にトラブル発生で予選14番手スタートというまさかの事態になったが、決勝ではチーム関係者がひとつになって不撓不屈の精神を見せ、レースを貫徹。10位でフィニッシュし、貴重な1ポイントを獲得している。

 シーズン開幕を控え、国内外のサーキットでの実走テスト、机上でのデータ作成など、様々な角度から今シーズンの準備に備えてきたTEAM KUNIMITSU。去年は山本尚貴、伊沢拓也両選手によるチームドライバーを復活させたが、今年はその2年目に入った。チーム内でのソフトウェアにおいては大きな変更はなく、より強固なコミュニケーション形成に期待が集まる。一方、ハードウェアにおいては、Hondaによる本年度のモータースポーツ活動発表会において、NSX CONCEPT-GTに搭載されていたハイブリッドシステムの使用を今シーズンは見送るというアナウンスがあったことで、車体の総重量が軽くなった直列4気筒2.0リッター直噴ターボエンジンによるクルマのセットアップを進めることになった。

 レースウィーク直前に雨模様となった日本列島。サーキット周辺の桜もその影響ですこし寂しい様相となっていたが、レースではシーズン開幕戦の戦いだけに、力強いパフォーマンスを開幕を待ちわびたファンの皆さんにお披露目したいところ。土曜日の朝、公式練習ではそんな思いを胸にした山本&伊沢両選手が今シーズンのカラーリングをまとったNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTのステアリングを握った。

 セッション終盤、GT500クラスの専有走行に入り、クルマに乗り込んだ山本選手がピットを離れる。ところが、ピット出口からコースへと向うそのとき、No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの後方から白煙が! 山本選手がすぐさまコースサイドにクルマを止めたためにその場では大事に至らなかったが、チームとしては予選に向けて暗雲が立ち込める事態となった。


予選:
 午前の練習走行では1分19秒970のタイムをマーク、11番手につけていたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT。だが、終盤に発生したトラブルシューティングのため、ピットでは予選に向けての対策作業が急ピッチで行なわれた。

 気温24度、路面温度34度と午前中の走行時よりも気温は5度、路面温度は8度以上大きく上昇した予選セッション。午後3時10分からスタートしたQ1では、ほぼワンラップアタックで決まると言ってもいいポジション争いのため、なかなかコースへ向う車両が出てこない。ほぼ5分が経過し、各車がピットを離れていく。予選方式はこれまで同様、ノックアウト方式。Q1はGT500車両全15台が出走、うち上位8台がQ2への出走権を手にするシステムとなっている。

 応急処置を済ませたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTでアタックに向ったのは、伊沢選手。ライバル達が午前のセッションで刻んだタイムを更新する中、どうしてもエンジンが本調子でないことから、100号車はタイムを伸ばすことが難しい。それでも最後の最後で自己ベストタイム1分20秒034をマーク。だが、総合14番手に留まり、Q2進出は果たせなかった。


 予選後、再び車両チェックが始まったNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTのピット。すでにチームでは、エンジン置換の作業に取り掛かるという苦汁の選択に迫られていた。なお、SUPER GTではシーズン中に使用できるエンジン数が3基と規定で決められていることから、初戦のレース前にこの作業をすることは、長くタフなシーズンを戦う上で実に厳しい条件を背負うことを意味する。しかし、決勝を戦う上でもはや避けられない事態となった今、ただその作業に集中するのみ。ドライバーも悔しい気持ちをバネに、決勝へのモチベーションを高めることに努めた。

 Q1に出走した伊沢選手。「結果的にはトラブル原因を予選開始までにうまく見つけることが出来なかったわけですが、でもその中でチームは出来得る対策をしっかりとしてくれました。でも最終的にはエンジン本体の不具合ということが判明したので、乗せ換えることになりました。朝からタイムが伸びなかったこともここに原因があるように感じました。一方で、総体的にパフォーマンスを見れば、Q1突破が難しいという状況でもありました。メーカーにはこれからのシーズンを考え、どんどん打てる手を打ってもらいたい。とにかく僕らはまず明日のレースでキチンと戦い抜きたいと思っています」と、決勝に向けて気持ちを切り替える。
 一方の山本選手は、「岡山はテストで調子が良かったので、いけると思っていたのに…」と落胆の表情。「走り始めからフィーリングが違っていたのと、また全体的にタイムを見てもトップとの差が大きかったので、今回は苦しいレースになるとは思っていました。さらにそこへきてトラブルが出てしまい、つらい状況になりました。自分のスティント中にセッティングを煮詰め、専有走行で最終確認しようと思った矢先にトラブルが出て走れず、クルマの状況をキチンと把握できないまま、伊沢選手にアタックを行ってもらうことになりました」と言葉に悔しさが滲んだ。「今の状況のままでは、この岡山だけでなく、シーズンすべてが厳しい。チームはもちろんみんな一生懸命がんばっているので、その期待には応えたいと思うのがドライバーなんですが、ただこの現状を大きく変えない限り、結果を望むのは難しい。大変ですが、しっかり前を向いていきたいと思っています」。


決勝
 迎えた決勝。前日同様、花曇りとなった朝は、やや気温も下がって風が冷たく感じるほど。気温14度、路面温度17度の中、午前9時から30分にわたるフリー走行が行われた。

 開始から10分もしないうちに、1台の車両がコースアウトして赤旗中断。さらに残り時間10分の時点でクラッシュ車両がコースサイドにストップ。これで2度目の赤旗となる。再開後は5分という短い時間のため、落ち着いて車両確認するには難しいセッションの中、No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは1分23秒012のタイムで12番手につけた。

 開幕戦ならではの様々なセレモニーも終わり、いよいよ300kmレースが幕を開ける。恒例となった白バイ先導によるパレードランを終え、ローリングスタートへ入り、気温20度、路面温度26度の中、今シーズン最初の熱い戦いが始まった。No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTのステアリングを握ったのは、山本選手。クリアスタートで全車がオープニングラップを終えると、その後は前後車両と駆け引きを始める。緩急を突きながら、好機を狙って周回を続けた結果、35周を終えてピットインまでにポジションを9番手まで引き上げた。

 14番手でコース復帰したNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT。ステアリングを引き継いだ伊沢選手もタイミングを見計らってポジションアップの機会をうかがう走りを見せる。ドライバー交代前後によるコース上での駆け引きも含め、タフな戦いのまま迎えた終盤。すでに前方車両との差は大きく開いてしまったが、一方で後続との攻防戦は続いており、油断できない状態。それでも伊沢選手は粘りを見せて後続をシャットアウト。10位でチェッカードフラッグを受け、入賞を果たした。

 レースを前にエンジン交換という事態に至ったNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT。決勝はチーム一丸となって大きな試練に耐え、10位入賞による貴重な1ポイントを手にすることになった。昨シーズンも厳しい戦いの中から、優勝をもぎとる強さを見せているだけに、苦難のスタートとなった今シーズンも底力を見せて躍進してくれるに違いない。


高橋国光総監督
ドライバーの気持ちになって考えれば、岡山でのことは本当に納得いかないことばかりだったと思います。確かに与えられた条件下で戦うこともドライバーの仕事ですが、誰よりも速く、強く走って勝つこともドライバーの仕事です。それができないふたりには大きなストレスになったことでしょう。彼らの貴重な時間を有効に使えるようなクルマでレースができるよう、チームが支えなければならなかったのですが、監督としても言葉が見つかりませんでした。ただ、そういう厳しい状況の中で、がんばりを見せて1点を獲ってくれたのは、本当にうれしかったですね。


山本尚貴選手
レース折り返し前のピットインでドライバー交代を行ないました。僕のスティントではもういっぱいいっぱいの状態で走り続けることになりました。今日はレースができていないということがなによりも悔しい。ただその中でも同じ道具を使っているライバル同士の中では絶対一番で帰ってくる、と思っていたので、それが自分の中で満足は決してできませんが、納得出来る部分は少なからずあります。そこが唯一の励みになってます。


伊沢拓也選手
予選日から色々ありすぎました。予選での走りは、僕自身も少し足りない部分はありましたが、最終的にエンジン交換をするなど、本当に苦しいレースウィークでした。そんな中、レースではなんとか1ポイントを獲ることができましたが、レース中にはちょっと接触もあったので、反省しなきゃいけないですね。本当にツラいレースだったんですが、なんとか全体的なパフォーマンス向上を見つけられればいいとは思っています。


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